海外旅行には必須の海外旅行保険。
海外旅行保険にはいくつか項目があり、その中でも携行品損害や傷害疾病治療などの身近なものはご存知かと思います。
今回は、その一つである「死亡・後遺傷害」という項目について紹介します。
あまり考えたくはないですが、海外旅行中に亡くなってしまった場合(傷害死亡・疾病死亡)、または、後遺症が残るような重度の被害にあった場合(後遺傷害)に対する補償の項目です。
目次
傷害死亡、疾病死亡とは
言葉の通り、傷害や疾病による死亡の際に支払われる補償となります。
疾病死亡と傷害死亡で少し条件が異なるので、それぞれ説明します。
疾病死亡とは?
まずは疾病死亡についてですが、旅行中に現地で感染症などの病気にかかり、その病気が原因で死亡した場合に対象となります。
旅行中に死亡した場合、旅行が原因で”帰国後に”病気を発症し亡くなった場合、いずれのケースも対象となります。
帰国後の死亡の場合、
・病気発症のタイミング
・医師の治療を受けているかどうか
などの条件が定められています。
一例としては、
- ・帰国後72時間以内に発症していること
- ・帰国後72時間以内に医師の治療を受けていること
- ・発症から30日以内に死亡していること
となります。
なお、クレジットカードに付帯する海外旅行保険は疾病死亡、すなわち病気による死亡は基本的に補償対象外となっています。
傷害死亡とは?
続いて、傷害死亡です。
こちらは、旅行中の事故によるケガによる死亡が対象です。
旅行のアクティビティや交通事故などが該当します。
傷害死亡の適用条件は、事故日から180日以内に死亡となります。
なお、傷害死亡、疾病死亡のいずれの場合も、原則として保険金は被保険者の法定相続人が受け取ることになっています。
後遺傷害とは
もう一つ、後遺障害についてです。
多くの場合、後遺障害は傷害死亡とセットで説明されています。
後遺障害とは、旅行中の事故によって死亡には至らなかったものの、後遺症が残った場合に支払われる保険です。
傷害死亡同様、旅行中の事故のみが対象で日常から適用されるものではありません。
具体的には事故発生日からその日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合が対象となります。
傷害死亡と後遺障害は保険金額が異なります。
傷害死亡が補償金額の100%が支払われるのに対して、後遺傷害は後遺症の程度によって保険金額の支払いの範囲が3〜100%となっています。
また最高金額は傷害死亡の補償額となっているのが一般的です。
また、後遺障害は事故によるケースのみが対象となり、病気で後遺症が残る場合は対象外となることも覚えておきましょう。
第三者の加害行為による保険金2倍支払特約とは?
死亡や後遺障害に関する保険の説明を詳しく読むと、
「第三者の加害行為による保険金2倍支払特約」
というものがあります。
自分が被害を受けた事故に加害者が存在する場合に、本来支払われる保険金の2倍の金額が支払われることになる特約となっています。
海外旅行先で歩いていたときに車にひかれた場合や、強盗などの暴力行為を受けた場合などですね。
実際に加害者がいるかどうかを証明する方法は、警察など公的機関による被害届です。
こういった事故にあった場合、公的機関からの証拠が非常に重要です。
言葉の通じない国である海外ではなかなか難しいことではありますが、こういった重大な事故の場合、日本同様、警察などの現場検証が入るのが一般的なので、その際の事故の証明などをもらうことになるかと思います。
あくまで”特約”なので、全ての海外旅行保険に付いているわけではありません。
クレジットカードに付帯する海外旅行保険には、この特約がない場合もあります。
※ 特約とは、本来の主契約とは別で、特別に設けられた契約内容のことです。
保険が支払われないケース
上記の条件に当てはまった死亡でも、保険金が支払われないケースもあります。
一番身近なものでいうと、妊婦していた場合です。
海外旅行保険では妊娠している方は、病気にかかりやすいと見なされ、死亡保険が対象外となります。
他には、戦争や暴動が発生している国で発生したケースです。
ニュースなどで見る機会も多いような紛争や内戦が勃発している国、地域など明らかに死亡確率が高い場所で死亡した場合、保険金が支払われません。
または、事故の原因が自分にある場合も、もちろん対象外です。
海外でのレンタカーを借りて運転していたが、運転ルールが違っていて間違えてしまい事故で亡くなってしまった場合などが該当します。
その他の項目を含めてまとめると、主に下記のような条件が対象外となります。
- ・保険金を受け取るべき者の故意または重大な過失
- ・被保険者の自殺行為、犯罪行為または闘争行為
- ・脳疾患、疾病、心神喪失
- ・妊娠、出産、早産、流産
- ・被保険者による自動車などの酒気帯び運転、無資格運転中の事故
- ・戦争、革命などの事変
- ・放射線照射、放射能汚染
- ・旅行行程開始前または終了後に発生したケガ
- ・症状として明確な根拠、事象がないもの
まとめ
死亡や後遺障害の海外旅行保険について解説してみました。
正直自分が亡くなった場合のことを考えるのは気が進みませんが、項目の一つとして明記されている以上、条件について一度読んでおく価値はあるかと思います。
掛け捨て型の保険はもちろん、クレジットカードの海外旅行保険の項目にもあります。
ただし、繰り返しになりますが、クレジットカード付帯の海外旅行保険は疾病死亡が補償の対象外となっています。